序章2 幸せなマイホーム、になりたかったあの日

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 僕の家に生きている人が居なくなってから半月くらい経った日。  内装屋さんがきて、僕の中をきれいにしていった。いろんな汚れとかは全部無くなった。  男の子とお母さんは相変わらず毎日お部屋を汚しているけど、その汚れはいつのまにか消えてなくなるから、多分お部屋はキレイになってるんだと思う。  不動産屋さんが新しい家族を連れてくるようになった。何人かの幸せな家族に僕を案内した。今度こそ、住む人に幸せになって欲しい。  新しく僕の家に住むようになった一家は瀧本(たきもと)さん。瀧本さんの家族は自営業のお父さんとお母さん、それから中学生のお姉さんが1人。  今度こそ幸せになって欲しい。なんたって、僕は『幸せなマイホーム』なはずなんだから。  不動産屋さんは、位波さんのご一家はサラリーマンだからローンの支払いが厳しくてあんなことになっちゃったけど、瀧本さんのご一家は裕福だから問題ないだろう、と言っていた。事故物件だから、安いけど即金で買ったからって。  よくわからないけど、大丈夫そう?  それで、瀧本さんたちは僕の家で生活を始めた。  瀧本さんのお父さんとお母さんが帰ってくるのは遅いけど、帰ってきて仲良く家族で今日あったことを話したり、一緒にテレビを見てたりして、楽しそうに過ごしていた。友達のこととか、テレビの感想とか。  よかった。これがきっと、『幸せなマイホーム』に違いない。
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