序章2 幸せなマイホーム、になりたかったあの日

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 でも、やっぱりうまくいかなかった……。  瀧本さんのお父さんとお母さんは、男の子が走る音を気持ち悪いって言い出した。2人は男の子が見えないからかも。お姉さんは瀧本さんのお父さんとお母さんに、男の子は悪い子じゃないんだよって説明した。でも、そうすると瀧本さんのお父さんとお母さんとお姉さんはだんだん仲が悪くなってきちゃって、喧嘩するようになってきちゃってた。  その後、色々あって、結局瀧本さんの家族3人はみんな死んじゃった。  また、生きてる人はいなくなったけど、死んでる人は増えた。死んじゃった瀧本さん一家と位波さん一家はお互いが見えないみたい。  2組の家族は、別々に、それぞれの死んじゃった日を繰り返し始めた。瀧本さん一家のエネルギーは位波さん一家に流れ込んで、それがまた僕に溜まっていく。滝本さんの一家は少しずつ小さくなっていったけど、エネルギーを受け取っている位波さんの一家は消えるのが止まった。  不動産屋さんがまた来て、僕をキレイにする。 「部長、ここやばいんじゃないすか? 一年ちょっとで5人でしょう?」 「うるせぇな、売れりゃいいんだよ、売れりゃ」  それからも僕の家には色々な人が住み、そしていなくなった。  死んじゃった人たちは増えたけど、やっぱり笑顔の人たちはいない。
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