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◇◇◇
濡れタオルで頬を冷やす。まじ痛い。
呪いを解く前に俺の歯が全部砕けそうだ。
「公理さん、もっと穏当に起こして」
「らっておきらいんらもん」
すっかり目が座っている。話すだけ無駄だな。起こしてくれただけで御の字だ。悪い人ではないんだがやはり公理さんをあまり信用しない方がいい気もする。夢を見たくない時はきちんと目覚ましをセットしよう。
外はまだ暗いが時刻は4時半。中途半端だし、もう一度寝ても起きる前に公理さんが寝そうだな。起きるか。
体を起こして布団を明け渡し、俺のかわりにベッドに倒れた公理さんに布団をかける。一応俺が起きるまで待っててくれたんだな。だが。テーブルを見るとまさに『食い散らかされた』という様相だった。それにひどく酒臭い。
ラップを買ってきといてよかった。手早く食べ残しを片付け、窓を少し開けて換気する。さらりと夜明け前の独特な風が室内に入り込む。今日も無事に夜を超えた。
家の情報では、次の事件ではいろいろな人が宝探しに来たそうだ。図書館で以前ざっと新聞を調べた時も死体に関連性はないようだった。
色々な人、というのはSNSとか街BBSを連想させる。それから宝探し。そういえばその前に住んでいたのは喜友名晋司、画家だ。宝と言うのは絵だろうか?
街BBSを検索する。
『辻切 喜友名 宝』 3件
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