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みんな笑顔にならないのかな。
僕は『幸せなマイホーム』じゃないのかな。
すごく悲しい。僕は誰も幸せにできない。どうしたらいいんだろう。
悲しくて悲しくて、気がついたら僕は泣いていた。
それからまた時間が経って、若い女の人が僕の家を借りた。
もう、誰も住まないで。僕は誰も幸せにできない。
みんな不幸になって死んじゃう。
僕はこの家の死んじゃった人たちを止められない。
だから住まないで。お願い。
ぼくは玄関をくぐる女の人を祈りながら見た。
「なんだろ、なんか懐かしい、この家」
女の人はぼんやりと玄関を見回す。
あれ? この声。それからこの懐かしい感じ。
ひょっとして……ひょっとして?
女の人は玄関に座って、玄関脇の廊下の壁に頭と右肩を持たれかけた。
壁を伝わって、トクトクと生きてる人の暖かい音がする。
それでその人は、目を閉じて独り言を呟いた。
「呪いの家って聞いたけど、あんまりそんな感じがしないな。……私は久里手柚。しばらくよろしくね」
やっぱり柚ちゃんだ! 苗字は違ってるみたいだけど柚ちゃんだ!
柚ちゃん生きてた! 嬉しい!
でもここにいちゃだめだ! 早く出ていって!
お願い!
誰か! 助けて!
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