-3 地獄の家

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◇◇◇  んう……。あたまがグルグルしてる。いたたたた……。  頭がちょっとすっきりした瞬間、酷い匂いで吐いた。  凄い、匂い、酷い、苦しい、無理。昔の公園のトイレより更に酷い。空気の成分の半分、窒素や酸素や二酸化炭素のある部分の半分がアンモニア、汚物とか腐った何かの粒子に入れ替わっている。気持ち悪いどころじゃない。息が苦しい。目もざらざらする。頭がフラフラする。また吐いた。  真っ暗だ。ここどこだろ? よくわからない。なんで?  とにかく移動だ。なんとか立ち上がって足を進めると、ぐちゃりと何か粘土に足を踏み入れたよう感触がして、そこから破裂するように匂いが広がった。また嘔吐した。嫌だ、気持ち悪い、助けて、でも、考えないように、する。反対方向に向いて恐る恐る歩く。手探りで腕を伸ばしていたら、壁のようなものに当たった。よかった。  何か硬いものがあった。スイッチかな。オンにするとパッと電灯がつく。ぐふ。目の前には下りの階段があったけど、点けたことに後悔して膝が笑い、立ちくらみとせり上がる嘔吐感で立ち往生する。待て待って、ここで倒れちゃ、ダメ。なるべく下を見ないように何も触らないように、階段を急いで降りる。幸いにも靴は履いていた。じゃりじゃりぱきぱきぐちゃり。そんな音を気にしないよう、そして万が一にも滑ったり転んだりしないように。  慎重に階段を降りると正面は閉まったドア、左に玄関、だよね? とりあえず外に出ないと。私は玄関に急ぐ。  ドアをガチャガチャして外に転げ出た。真っ暗な玄関から飛び出した先は別世界で、とても静かで街灯が薄ぼんやりと道を照らしていた。大きく息を吸い込む。  よかった。出られた。まともな空気。ふう、はあ。  あれ? ここは?  そう思ってキョロキョロとあたりを見回した。  さっき入ろうとした家? なんで家の中に?  頭が働かないけどともかくまずは警察に電話。 「あれ? どうしたの?」  背後から泰斗の声がした。ほっとした。でも。
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