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俺は蒼苺のパソコンから小説サイトにアクセスし……あ、しまった他人のパソコンだからこれ、パスワードが保存されてないじゃん。
俺のパスワードどんなんだったっけ。
思わぬ障害にうろたえながら、俺はこれまでの経緯を蒼苺に説明した。
珍しく蒼苺が余計な口を挟まずに聞いているな、と思ったらぺらっぺらのせんべい布団の上でスマホを片手に涅槃のポーズでこんなことを言った。
「たまたまじゃねえの、たまたま。しかしすごい人気ってのは、ほんとみたいだねえ。ほら見ろ、ぐんぐん順位上がって、お前今、日刊週刊、両方一位だってよ。ランク急上昇ページで紹介されてるよ」
「うわあああああ、やめてえええええ!」
絶叫した俺の耳に、蒼苺がつけっぱなしにしていたテレビの緊急アラートが突き刺さる。
「緊急速報をお伝えいたします! 北海鮮魚民主主義共和国からわが国に向けてミサイルが発射された模様です! 特に縦濱市付近にお住いの国民の皆様は速やかにシェルターに緊急避難してください。繰り返します! 北海鮮魚民……」
さすがの蒼苺が目を丸くしている。
俺は一応訊いてみた。
「苺ちゃん、核シェルターとか持ってる?」
「そんなもん、あるわけねーだろ! つうかなんでピンポイントにここなんだよ!」
俺たちは蒼苺がろくに掃除をしないせいでうっすら埃で曇った窓から空を見上げた。
さっきまで土砂降りだったはずの空は澄み渡り、遠くにピカッと何かが光った。
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