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と、まあそれが先週のお話。
転んでもタダでは起きない自称作家の白石獅子雄(本名同じ)は、それから一週間自室にこもってうじうじとヤケ酒をしながら考えた。
このまま引き下がるだけでは単なるフラレ野郎でおしまいだ。
だがしかし、俺には輝く才能がある。
この右手に宿りし神の筆……そう、俺は自称作家! どんな経験もたちまち小説にしてしまうのさ!
「ごめんなさい、あたしが全部間違っていたわ。あなたってなんて才能があってイケメンでそのうえあっちもすごいのかしら、と。ふふ、うふふふ!」
題してリベンジ官能小説大作戦!
ヒロインの名前を先週別れた誰かさんの名前にして、俺はさっそくエロ小説を書き始めたわけだ。
フラれた腹いせで写真だの動画をばらまくのは犯罪だけど、官能小説発表したら犯罪とはきいたことがないもんでね。
ゲスい?
うるせえ、三十路超えたアマチュア作家に性格のいい奴なんか、いてたまるもんか!
俺は怒りにまかせてキーボードをぶっ叩き、連載小説の話数を重ねた。
いやあ、快筆、快筆!
いまだかつて、こんなにすらすらと書けた小説があっただろうか、いや、ない! 反語。これは反語表現だ、俺ってやっぱ才能あるわー、天才、天才。
ぬふふふふん!
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