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勢いのままに更新していたウェブ小説の、ページビューがすごいことになっているのに気づくのに、二日ほどかかった。
何せ、今まで真面目に書いた小説はいつもページビュー一桁が当たり前で、全然誰にも見向きもされなかったもんだから。
「うへえ? なにこれ、一日で千ページビュー超えた……だと?」
座布団の上でひっくり返って天井に向かって大爆笑。
みんな、好きねえ!
ちょっとエッチなやつ書いたらこんなに人気が出るものなのか。
それとも今まで気づいてなかっただけで俺ってそういう才能があったわけ?
俺の小説「俺が天才だと分かったとたんに歴代彼女が押し寄せてハーレム化してきて毎日忙しすぎる件」は怒涛の快進撃を続けた。
こうなってくると、俄然やる気も出てくる。
やっぱエロは強いなあ! このまま出版社の目に留まって書籍化なんかしちゃったりして。
苦節十数年、ついに俺も人気官能作家の仲間入り、ってか。ってかー! 令和の団鬼七先生なんて呼ばれちゃったりなんかしちゃったりなんかしてー? ああどうしよう、印税使い切れるかなあ。シシオ、困っちゃうー!
と、ニッタニタしながら俺は書きかけの小説を保存して、外へ出る。
作家たるもの、一日一度くらいは外にも出ないとね!
あのバカ女にフラれてから、ほとんど他人と会話もしてないし。面倒だと思っても「袋いりますか」「いりません」「ウス。あじゃじゃしたー」という会話を繰り広げなくては、文明人とは言えないのだ。
今週、中華まん全品百円セール(ただし高級まんは対象外)やってるしな。
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