俺の小説を読まないで!

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 今日は何まんにしようかと思案しながらコンビニに向かう俺の頭上で「アーホー」とだみ声でカラスが鳴いた。  まあ仕方ないよ、カラスだもん、そらあカラスの勝手だもんなあ、と阿弥陀並みに広い心で許した俺に ビシャン といやな感触がして、頭に手を当てたら見事命中していた。頭のてっぺんにカラスのうん……。 「ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ、アーホー!」  え? 何それもしかしてわざと? などと思わないでもないが、相手は畜生だ。  怒るのも大人げないだろう。  何せ俺は未来の人気官能作家様だからな。心の余裕が違うのよ、ゆとりが。ほらそれに、運がつく。きっと運がつくし、こんちくしょう!  夕空に消えてゆくカラスの後ろ姿を睨みながら、肉まんもピザまんも売り切れていたから仕方なくあんまんを買って帰った。  セール中に肉まん切らすとか、どんだけ無能なんだよ、あのコンビニ!
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