俺の小説を読まないで!

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 風呂上がりにスマホで確認したら、またページビューが上がっていた。  右肩上がりっていうかこれ、うなぎ上りってやつじゃない?  いやいや飛龍昇天ペガサス上りじゃね?  うっひょー! 超読まれてんじゃん、俺! 感想もついてるし!  なになに「すっごい面白い」「続きが気になりすぎて夜と昼しか寝られません」「エロすぎるけしからんもっとやれ」だってさ!  やっと気づいたか、白石先生の面白さに! 期待されてる。俺は今人生ではじめて、他人に期待されているぞ! 「もーしょうがないなあ、おまえら~! しょうがないから寝る前にもう一話上げちゃおっと!」  カタカタとキーボードを叩き、ぽちっとな!  更新した瞬間からまたページビューが上がってゆく!  登場人物のユカリじゃないけど「いやん、こんなのはじめて!」状態だ。  今夜はいい夢見そうだなあと思って歯を磨いていたら、どんどん! と玄関の戸がけたたましく音を立てる。 「はいはーい?」 「あっ、白石さん? 大家ですけど!」  この家にはインターフォンなんてご立派なものはついてない。というか、そこの大家がつけてないんだ。
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