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サンタさんが用意したのは、オレンジ色の毛糸と、「ニット帽子メーカー」という便利な道具です。便利です。多分。サンタさんは編み物をやったことがありません。「ニット帽子メーカー」を使うのも初めてです。
説明書を見ながら、「ニット帽子メーカー」に毛糸をかけるサンタさん。小学生のときに家庭科の授業でつくったマフラーに似ていると思いました。
昔の話です。
牛乳パックの下半分を切り、上からはみ出すように割り箸を16本貼りつけたことを、20年経った今でも覚えています。
割り箸に毛糸を巡らせて、毛糸を少しずつ巻きつけながら編んだマフラー。
「リリアン編みみたい」と言った女の子がいました。
残念ながら、サンタさんの完成したマフラーは、とても外で着用できるものではありませんでしたが、その子のマフラーは、編み目がとても綺麗でした。
手先が器用だった、女の子。友だちが少なくて、学校に折り紙や手芸を持ち込んでは先生に怒られていた。
大人になってから再会したその子は、フリーマーケットで作品が完売するような人気作家になっていました。
照れ屋で、自信がなくて、素朴に笑う、女の子。
いつの間にか惹かれている自分がいました。
昔の話です。今もまだ惹かれています。
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