陽だまり

1/1
前へ
/15ページ
次へ

陽だまり

君を失ってから、木枯らしが吹き荒れる日々。 陽だまりをもとめ天を仰いでも、虚しさだけが降り注ぐ。 秋がさよならを言い、冬が雪を連れてきた朝、君は天に召された。 僕は打ちひしがれるのに耐える気力すらなく、君の亡き骸にすがるので精一杯だった。 もし神様が居るなら、あの時に戻って口づけしたなら、白雪姫のように目を覚ますなら、僕の命を君に捧げてもかまわない。 そして、僕が君の陽だまりになって見守ってあげたかった。 僕は憎い、彼女の命を奪った運命と言う名のさざ波が憎い。 まるで潮が引くように彼女を奪い去ったさざ波が。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加