第二話:終わりは春を連れ立って

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 真夜中、錆びたカッターナイフを持ち出した穂希は、一呼吸おいてからそれを手の甲に宛がった。  浮き出た血管を凝視して薄い皮膚を切り裂くと、線状の傷からは忽ち血液が溢れ出てくる。  どうやら意識的に及ぶ自傷行為は、普段衝動的に行う自傷行為よりも、何倍も痛むらしい。  呼吸を整え、傷口をティッシュで押さえながら包帯を探す。  伸縮性のある包帯を手馴れた様子で巻きつけると、白かった布は瞬く間に鮮やかな赤に染まった。
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