下僕だけど……

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「そうか!お肉もジビエだよね?臭みも無くて、美味かった!」 爺ちゃんと婆ちゃんが一生懸命作った野菜や、爺ちゃんの仕留めたジビエを2人が口々に褒めてくれて嬉しかった。 「あ、ありがとうございます」 照れ臭いけど、嬉しくてお礼を言うと 「こちらこそだよ!今日はそのお礼も兼ねてだから、食べてね」 って、3人に勧められた。 活気あるお店と、3人の気さくな感じが俺の人見知りをいつの間にか突破らってくれていた。 この日から、俺は何故かこの親子?カップル?に気に入られてしまったようだった。 大学の講義が終わり、バイトが無くて帰宅していると 「熊さん、飯、食ってかない?」 って、何故か店から出て来た蓮に声を掛けられるようなる。 なので、俺は創さんの家か蓮の店で飯を食うようになった。 そんなある日、講義が急に休講になり、大学から早めに帰宅していると、大荷物を持ったハルさんを見掛けた。 「ハルさん、荷物持ちますよ」 隣に並んで荷物を1つ掴むと 「あれ?一くん、今帰り?早いね」 ってハルさんが微笑んだ。 相変わらず、色気だだ漏れで心配になる。 蓮が他の奴らに煩いのも、納得してしまう。 「急に休講になって」 「そうなんだ……。あ!ねえ、お昼ご飯、食べて行ってよ!荷物持ちのお礼にね」 「でも……いつも悪いです」 「平気だよ!蓮も喜ぶし」 そう言われて、何故か荷物持ちだけの筈が昼飯にオムライスをご馳走になってしまった。 創さんの家に行く時間になり 「俺、そろそろ……」 と声を掛けると 「これ、良かったら」 って、ハルさんが創さんの分も作ってくれていた。 「え?……でも」 「良いから。一品、作るのが減ると楽でしょう」 そう言われて、お辞儀してタッパーに詰めてくれた温かいチキンライスを手にした。 「卵は食べる直前の方が美味しいから、それは、一くんがやってあげてね」 俺はハルさんのご好意にお辞儀して、創さんの家に向かった。
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