下僕だけど……

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「友也から聞いたけど…あんたがコーヒー担当してから、客が増えたって。あんただって、自分の仕事をちゃんとしてるんじゃねぇの?」 蓮というイケメンがポツリと呟く。 「え?」 驚く俺に 「そうなんだよ!それでね、今日、熊さんとハルちゃんを引き合わせたかったのは、ハルちゃんのコーヒーを熊さんに飲ませたくて!」 と、友也が叫んだ。 「え?僕のコーヒー?」 驚く美人に 「熊さんに、ハンドドリップ式のコーヒーを飲んで欲しくて!」 そう言って友也が微笑んだ。 「ほら、うちの店。機械じゃない?俺はやっぱり、ハルちゃんみたいなハンドドリップ式が好きだなぁ~」 と続けた。 「ハンドドリップ式なんですか?」 俺が隣の美人に訊くと 「あ、うん。うちは小さなお店だからね」 と頷き 「機械には機械の良さがあるじゃないか。毎日、同じクオリティでコーヒーが飲めるんだから」 そう続けた。 「俺も教わったけどさ~、ハルちゃんみたいに上手く入れられなかった~!」 「僕はもう、20年近くやってるからね」 美人の言葉に 「え!」 って驚くと 「あ!子供の頃からって意味だよ!」 と言われてホッとした。 「物心着いた時には、お店の中に居たからね。両親に教わって、小学生の高学年から家族のコーヒーを入れてたかな?」 懐かしむように目を細めて話す美人の話を真剣に聞いていると 「熊さんは、運動を何かしてたの?」 と、蓮というイケメンが聞いて来た。 「?いや、別に」 「え?それでその筋肉?」 そう言われて 「畑仕事してたから……」 と呟くと 「あ!そうか!あの美味しい野菜!」 隣の美人と蓮というイケメンが声を揃えて叫んだ。 俺が驚くと、友也が 「熊さんにお裾分けして貰った野菜とお肉、ハルちゃん達と食べたんだ」 って微笑んだ。
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