1145人が本棚に入れています
本棚に追加
「大丈夫ですよ。俺、こう見えても口が固いんで!」
にっこり笑う友也に
「気持ち悪く…無いのか?」
ぽつりと聞くと、友也はきょとんとした顔をしてから
「じゃあ、熊さん。俺の事、気持ち悪い?」
って、聞いてきた。
俺が首を大きく左右に振ると
「でしょう?俺も一緒。俺の知り合いの奴に比べたら、見て妄想してる熊さんの方が可愛いって」
と答えた。
「妄想…」
そう呟いて真っ赤になると
「あぁ!ごめん。えっと、いつもうっとりした顔で見てるから、なんか妄想してるんだろうな〜って思ってたんだけど…」
頭を掻く友也に、俺はガッツリ落ち込んだ。
「お前にバレてるって事は、本人にもバレてるよな」
落ち込む俺に、友也は背中を叩いて
「大丈夫だよ!ドンマイドンマイ!」
って笑ってる。
俺、来週からどんな顔して会えば良いんだよ。
顔を両手で覆って落ち込んでいると
「でもさ…、熊さんはなんで高杉さんが良いの?」
友也はすっかり身支度を整えて、リュックを背負った。
「……綺麗、だろう?」
そう呟いた俺に、友也は『う〜ん』と言いながら
「俺はハルちゃんの方が好きかな?」
って答えた。
「ハルちゃん?」
「そう、ハルちゃん!」
笑顔で答えると、ロッカーのドアを閉めて
「って事で、じゃあお先に〜!」
っと、言いたい放題言って帰ってしまった。
俺は誰もいなくなったロッカーで、赤くなった顔を両手で隠し、必死に気持ちを鎮めていた。
最初のコメントを投稿しよう!