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過去
俺、熊谷一19歳。
山奥の田舎から、大学進学で駅のある繁華街で一人暮らしを始めた。
ずっと山の中で育ち、爺ちゃんと婆ちゃんに育てられた。
両親は幼い頃に離婚して、それぞれの家庭を持っている。
俺は父方の祖父母に、何の不自由も無く育ててもらった。
本当なら、大学には行かずに就職するつもりだった。
でも、爺ちゃんと婆ちゃんが
「一は頭が良いんだから、大学には行っとけ」
と言ってくれて、親父から教育費は出させたようだった。
親父はどうやら、どっかの会社のお偉いさんらしい。
俺は興味無いし、どうでも良い。
顔の知らない親父より、爺ちゃんと婆ちゃんが俺の親だと思ってる。
本当は俺が働いて楽させて上げたいのに、2人は俺の就職に対して、決して首を縦には振らなかった。
2人の暮らしも、年金と親父からの援助があるから大丈夫だと言っていた。
田舎だけど、俺は大好きな場所だった。
今、テレビでやってるポツンとなんとかって番組みたいな場所で育った。
昼間は田畑を耕し、夜は眠りに着くという自然と共に暮らしていた。
爺ちゃんは腕利きの狩人で、ジビエの捌き方から血抜き方法まで教わった。
俺は人と暮らすよりずっと、自然の中で生きて来た。
小学校に入って、まずは名前を揶揄われた。
一の名前が「熊谷ーっ!」に見えるらしく、熊谷ーっ!って揶揄われ掛けたが、みんなより図体がデカかったので、直ぐにそんな嫌がらせは消え失せた。
学校の授業でも、野山を駆け回っていた俺にとって、学校の体育なんてどうって事無かった。
勉強は婆ちゃんから
「無知よりも知識があった方がええ」
と言われていたから必死に勉強した。
正直、知らない知識を頭に入れるのは好きだった。
俺の知らない世界があって、そこから無限の世界が広がっているのが楽しくて仕方なかった。
スポーツが出来て成績もそこそことなると、中学生になる頃には女の子が寄って来るようになった。
初めて付き合ったのは、中学2年生の時。
一つ年上の先輩で、キスもSEXも…全部彼女が初めてだった。
ただ、何故か俺は中折れしてしまったのだ。
その後何度か試したけど、結局、勃起すらしなくなってしまった。
彼女とは気まずくなり、そのまま別れてしまった。
俺はその後、告白されても付き合う事を拒否し続けた。
誰かに夢中になる事が無くて、俺は高校まで1人を貫き通していた。
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