突然の別れ

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そんな時、自宅に1本の電話が入る。 爺ちゃんと婆ちゃんの家に、着信があるなんて珍しいなぁ~と思って電話に出ると 「はじめか?」 と、思いがけない創さんの声に固まる。 「……創……さん?」 やっと吐き出した言葉に 「お前ーっ!」 って、怒り心頭の声。 思わず縮み上がると 「何で連絡して来ないんだよ」 と、ポツリと呟いた。 振られるのが怖いから…… 声を聞いたら、会いたくなるから…… 会ってしまったら、我慢出来なくて押し倒してしまいそうだから…… 色々な言い訳が頭の中を駆け巡る。 でも、いざ聞いてしまうと、会いたい気持ちが勝ってしまうんだと思い知らされる。 「もう……、僕の事はどうでも良いのか?」 ポツリと言われて 「違う!」 と、思わず叫んでいた。 「まぁ……、言い訳は後でじっくり聞くよ」 そう言われて 「迎えに来い。今、ギリギリ電波のある場所にいる。お前の家までの道、僕の車では行けそうに無いから」 創さんの言葉に耳を疑った。 「来るまで待ってるからな!」 そう言って、電話は一方的に切れた。 俺は台所に立つ婆ちゃんに 「婆ちゃん、今からお客さん来るんだけど…」 と言うと 「はじめの友達が此処に!あれま!爺ちゃん居ないから、鹿肉出せないけど……」 慌てる婆ちゃんに 「いつもの婆ちゃんの料理で大丈夫だよ。布団だけ借りるよ」 そう言って、俺は押し入れから1度も使われた事の無い来客用の布団を出して、離れの自分の部屋へと運ぶ。 大学受験で夜遅くまで勉強している俺に、爺ちゃんが作ってくれた広い12畳の和室の離れに布団を運び、俺は靴を履いて山を駆け下りる。 創さんに会える それだけで嬉しかった。 近道の獣道を駆け下りる事30分。 立派なベンツのボンネットに座る、創さんの姿が見えた。 「創さん!」 思わず叫んで飛び出すと 「うわぁァァァァァ!」 って、創さんが悲鳴を上げた。
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