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望海の切ない胸の内も知らず、啓吾が元気よくテーブルの上へ、大きな箱を出した。
「そうだ。僕からも望海さんにプレゼントがあるんだ」
困惑した望海はクリスマスのラッピングを解いて、箱を開ける。
包んだ紙の中から、ラベンダー色のランニングシューズが姿を現した。タウンでも履けそうな人気のデザインだ。意外過ぎるプレゼントに、望海は驚いて首を振る。
「こんな高価なもの、受け取れないわ」
「決めていたんだ。バイトして初めてのプレゼントは、望海さんにあげようって。僕には母がいないから、その代わりに。もう母以上の存在だけどね」
そういえば子供の頃、そんなことを言っていたっけ。
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