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言ってしまったら、嫌がられるかもしれない。
朔を通してのつながりも切れるかもしれない。
でも。どうしても胸の高鳴りが止められないから、言ってしまおうか。
「あの、江麻先生。その『お兄さん』って呼び方やめませんか? 俺の名前、陽央です」
「え?」
江麻先生が驚いたように目を瞬く。
だけど、しばらくしてから彼女の頬が少しずつピンクに染まり始めた。
「わかりました。じゃぁ、お兄……えっと、陽央くんもやめてください。『先生』っていうの」
頬を染めた彼女が、ふわりと笑う。
新しい生活とともに、何かが始まる。
そんな予感で胸がいっぱいになった。
【完】
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