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「何だか朔ちゃん、前よりよく笑うようになりましたね」
河原で遊ぶ子どもたちを眺めていた江麻先生が、そっと目を細める。
「そうですか? 相変わらず愛想笑いがうまいですよ」
苦笑いすると、江麻先生が俺を見て微笑んだ。
「お兄さん、よく見てますね。朔ちゃんのこと」
江麻先生が微笑ましそうに俺を見るから、恥ずかしくなる。
「いや、別に……」
俯くと、江麻先生がクスッと声をたてて笑った。
「これからも、朔ちゃんやカズくんの成長を見守れたら嬉しいです」
何気なく言ったであろう江麻先生の言葉。それを勝手に深読みして、ひとりでドキリとする。
「ずっと一緒に見守ってもらえたら心強いです」
「お兄さん?」
江麻先生が不思議そうにちょっと首を傾ける。
その表情と仕草が可愛くて、ドキリと胸が高鳴った。
江麻先生と一緒にいると、優しい気持ちになると同時にふわふわと心が浮ついて落ち着かなくもなる。
心臓だって、ときどき変なふうにドクンとはねる。
江麻先生の顔を直視していると、おかしなことを口走ってしまいそうだ。
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