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 河原沿いの道をぶらぶらと歩きながら、住んでいる二階建てのマンションの前まで帰り着く。ふと見上げると、一人暮らしのはずの部屋に灯りが点いていた。  消し忘れたのか……  首を傾げてぼんやりと考えながら、俺はマンションの階段を二階まで早足で上がった。  明日も学校があるし、シャワーを浴びて早めに寝たい。  鞄から鍵を取り出して、無造作に鍵穴に突っ込む。開錠してすぐにドアノブをひくと、おかしなことにドアが開かなかった。  もう一度鍵を差して捻り直すと、カチャリと音がして、今度はちゃんとドアが開く。そのことに、俺は僅かに戦慄した。  部屋の電気は、もしかしたら消し忘れて出かけたかもしれない。  でも、ドアの鍵は絶対に閉めた。俺には鍵をかけたあとに、ドアノブを回して再確認する癖がある。それなのに、閉めたはずのドアの鍵が開いてたのだ。  まさか、家の中に空き巣が────!?  このマンションは防犯体制が緩い。階段を登れば誰でも入って来られる作りになっているから、あり得ない話ではない。
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