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「すみません!坂井警部、さっきの……」
と言いながら岩田千秋が捜査一課に入ってくると、八須と松林が缶コーヒーを飲みながら振り向いて岩田を見た。
「あら?休憩?」
岩田はキョロキョロして言うと、八須と松林は顔を見合わせた。
「もう間も無く戻るけど、なに?伝えるよ」
「八須は…いいわよ」
「どういう意味?」
「別に。いいわ。また後で来る」
岩田はそう言って捜査一課を出ると、八須はムッとして少し小走りで岩田に駆け寄り、腕を掴んで、「待てよ」と言って引き留めた。
「あんた、なんで坂井さんにそんなにちょっかい出すんだ?」
「は?別にそんなこと」
「あの添付メールも、何か関係してるだろ?何が目的?」
八須が真顔で言うと、松林も後ろで2人を見つめた。岩田は八須を睨んで、
「坂井さんにも奥さんにも、手は出させないからな!」
と強い口調で言うと、岩田はまた驚いて八須を見つめて、唇を噛んだ。
「…みんな、奥さんのことばっかり。なんなの?人は陰で何をしてるか分からないわよ。勝手にみんなで理想の奥さん像を作り上げてるだけなんじゃないの?」
「あんたには、奥さんの足元にも及ばないよ…なんでみんなが雪子さんに惹かれるか」
「はあ?!」
岩田は思わず声を上げて八須を睨みつけると、
「何やってんだ?お前ら」
と言って理と雪子が腕を組んで階段から降りてきて、捜査一課の前の通路にいる八須と岩田を見つめていた。
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