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「でも、現実って、結構シビアです。主人の実家は私を受け入れてくれないし、勘当されたみたいだし。私の両親も、財閥のその家庭から何かされるんじゃないかって怯えて、結婚に反対でした。でも私の妊娠がわかって、結局すぐに籍を入れたんですよ」
「なるほどなぁ。たしかに…現実って、そうだよな。仕方ない。でも、2人で決めたことなら、2人でやってけばいいんだし。親のことは気にすることないんじゃん?」
俺はそう言って腕を組んだ。
「じゃ、子供、いるんだ?」
「…いえ、それが…。結局その後、仕事に追われて流産してしまって」
「え?そっか…。悪りぃ。知らなくて」
流石に、ちょっと申し訳ない気持ちになった。
「いえいえ。知らなくて当然ですよ。こんなことまでは、あまり広めてないし。流産してから、なんか、だんだん主人ともギクシャクしちゃって。…だから私たちは何年もレスだし、今はうまくいってないの。坂井警部たちのご家族が羨ましいです。どうしたらいいのかなぁ。主人は毎晩遅いから、愛人もいるっぽい。それを責めることも、出来なくて。…もしかしたら、離婚した方がいいのかも、って思ってるとこです」
岩田が少し悲しそうな声で言うと、俺は「なるほどなぁ」と呟いて、窓の外の景色を眺めていた。
「離婚が、解決策になるのかどうかは、2人にしか分からないからなぁ」
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