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確かに、こればかりは他人には分からない。
前に、雪子も流産した。その時の雪子の苦しみは、俺にはきっと想像もできない。俺の浮気問題も被って(してないけど!!)、いろんなことが重なって、追い討ちをかけるかのように流産した。その時、雪子は俺の前から姿を消したっけ。俺はそのことを、みんなに責められたな。雪子の悲しみも苦しみも、きっと、俺の想像以上なんだろう。女にとって、流産とは、それくらい重いものだと聞いた。
でも、旦那も旦那だな。苦しんでる自分の女房を、慰めなかったのか?俺なら尚更雪子を抱きしめて、守ってやりたいって思うのに。あの時、本当に自分のことが情けなくなって、だからこそ自分に誓いを立てた。二度と苦しめないって。きっと、旦那もわかってるだろうし、あとは2人が培ってきた情次第だろう。
そうして、すぐに第三上野署に戻ってくると、俺は助手席を降りて両腕を思い切り上に伸ばして、
「うーん!たまには助手席もいいもんだなぁ」
と言うと、岩田も運転席から降りてきて俺を見て微笑んだ。
「ありがとうございました。あんなとこ、やっぱり1人じゃ無理でした!来てくれて助かったわ。また宜しくお願いしますねっ」
「やだよ。橋渡しはした。あとはお前でやれ」
「そんな……あの人たちと対等に話せるのは、坂井警部だけです。次も宜しくですよ」
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