第58章 引き裂かれない2人

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すると、彼女は私に向かって右手を差し出して、 「初めまして。私は捜査4課の岩田千秋警部補です」 と言って、少しキツめな笑顔になって私を見つめると、私はちょっと唇を噛んで握手に答えようと思った。けど、また理が腕を引いて、 「握手は必要ないだろ。えーと?なに。蒲生んとこ行くの?行ってくれば?俺は関係ないだろ」 と言って捜査一課に入っていくと、岩田は驚いて右手を降ろして理を見上げた。 「で、でも」 「俺は関係ない。あとは4課でやれよ」 「坂井警部…!」 「雪子。帰るなら、送るぞ」 「え?でも」 私は理を見つめて言うけど、八須さんと松林さんも後ろで岩田さんに何か話していて、2人もすぐに戻ってくると、岩田さんの姿は消えた。 「あいつ、行った?」 理が向こうを向いたまま、少し後ろを向いて八須さん達に言うと、2人は頷いた。 「はい。4課に戻りましたね」 「おし。雪子。ちょっと、送ってくる」 理がジャケットをハンガーラックから外すと、私は理の腕を掴んで、 「待って。理は仕事中でしょ?私は大丈夫…家近いのよ。理は仕事あるでしょ?私は勝手に来ただけなんだし。ね?」 と言うと、理は私を見て眉をしかめて、 「だめ。危険」 と言って首を横に振った。 「…仕事、してください。警部なのよ。そんな自由に動いてちゃ、だめ。警部が動き回ってたら、みんなに迷惑よ。ねぇ?八須さん、松林さん」
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