471人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、彼女は私に向かって右手を差し出して、
「初めまして。私は捜査4課の岩田千秋警部補です」
と言って、少しキツめな笑顔になって私を見つめると、私はちょっと唇を噛んで握手に答えようと思った。けど、また理が腕を引いて、
「握手は必要ないだろ。えーと?なに。蒲生んとこ行くの?行ってくれば?俺は関係ないだろ」
と言って捜査一課に入っていくと、岩田は驚いて右手を降ろして理を見上げた。
「で、でも」
「俺は関係ない。あとは4課でやれよ」
「坂井警部…!」
「雪子。帰るなら、送るぞ」
「え?でも」
私は理を見つめて言うけど、八須さんと松林さんも後ろで岩田さんに何か話していて、2人もすぐに戻ってくると、岩田さんの姿は消えた。
「あいつ、行った?」
理が向こうを向いたまま、少し後ろを向いて八須さん達に言うと、2人は頷いた。
「はい。4課に戻りましたね」
「おし。雪子。ちょっと、送ってくる」
理がジャケットをハンガーラックから外すと、私は理の腕を掴んで、
「待って。理は仕事中でしょ?私は大丈夫…家近いのよ。理は仕事あるでしょ?私は勝手に来ただけなんだし。ね?」
と言うと、理は私を見て眉をしかめて、
「だめ。危険」
と言って首を横に振った。
「…仕事、してください。警部なのよ。そんな自由に動いてちゃ、だめ。警部が動き回ってたら、みんなに迷惑よ。ねぇ?八須さん、松林さん」
最初のコメントを投稿しよう!