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本当は理も警部として仕事は山積みだったけれど、榊原さんに相談して無理矢理休みをもらった。理は長男でもあるからどうしても葬儀に一番関わることになるから、実家に急いで向かわなくてはならない。私は子供たちを実家に預けて、理と2人で新幹線と在来線を乗り継ぎ、岐阜にやって来た。なのに、お通夜が終わってからお母さんが子供たちを連れて来た。土日だし、お義母さんとお母さんも仲良かったから、お線香をあげたい、と言って来てくれたんだ。光莉と大地がお義父さんのそばにいて、慰めるようにいっぱい話してあげて、お義父さんの沈んでいた表情も心なしか少し緩んできた。
みんなが協力し合い、商店街の人たちや近所の人たちも手伝ってくれて、お陰でお通夜から初七日まで滞りなく全部終わった。
お義父さんが喪主となるわけだけど、今は体力的にも弱って来ているから、と言うことで、理が喪主となり、葬儀全般をまとめていた。こういう時、動じることなく取り乱すこともなく、立派に喪主を務めていて、私は理をすごく見直した。私は時々泣いてしまったのに、理は泣くこともなく、毅然とした態度で、終始喪主を務めていた。
「ただいまぁ」
そう言って玄関のドアが開く音がすると、私は顔を上げてすぐに立ち上がった。みんなも顔を上げて居間の入り口を見ると、そこに喪服を着た理が顔を出してきて、少し疲れた表情で私を見て微笑んで肩を抱き寄せた。
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