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怖い。
本能がそう囁く。
レオンの瞳は悲しんでいる。でもその理由がわからなくて、それでも与えられる刺激に思考はまとまらず、どうしたらいいかわからない。
レオンが悲しんでいる。苦しんでいる。
それだけは嫌なのに。
「れお、ぁ…レオ、レオ…」
「…ウル、俺は」
レオンが何か言い淀んだ時、両手の拘束が緩んだことを感じて腕をすり抜けさせた。
あ、とレオンが目を見開いた隙にする、とその大きい背中に腕を回した。
「…っひあああぁ!!?」
卯瑠の行動に驚いたレオンが不意に中に沈めたままの指で今し方まで優しく刺激していた部分をぐ、と押し込んだ。
突然走った今までより強い刺激に卯瑠の目の前はチカチカと光って体は大きく跳ね上げた。
レオンはそれにも驚いて、慌てて指を引き抜くと痙攣する卯瑠の体を抱き寄せた。
「〜っぁ、ぁ、あぅ、っん…はぁ……」
ピク、ピクっ、と震える体。卯瑠は与えられた絶頂感を堪能する間もなく、レオの唇を自分のそれで塞いだ。
「…っ、ウル」
「は、ぁ……ばかレオ」
目を合わせれば先程までの威勢はどこへやら、酷く驚き狼狽えた様子のレオンが映る。
この男はどうも言葉が足りない上に、子供っぽい。というのは分かりきっている。
今までだってこういう行為に至ったことこそはなかったものの、喧嘩のようなことはした。
そういう時はいつもレオンが拗ねる。それはもつ子供っぽく拗ねるのだ。口も効かなくなる。
そういう時は卯瑠から歩み寄るのが定番のようになっていた。
「も、ばか……ちゃんと話そって、いっつも言ってるのに…」
「う…それは、お前が…!!」
「私が何?ちゃんと言って」
そう返せばうぐ、と言い淀むレオン。
慣れたことだが少しため息が出そうになってしまうのを卯瑠はとどめた。
おまけにこんな、自分の恥ずかしいところを晒しているというこの状況で。
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