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そう返せば一拍置いたのち、レオンは深くため息をついた。
主人のことを考えて悩んだのに何だそのリアクションは。と卯瑠がむっとしたのも束の間だった。
「ウル」
「ひゃっ…」
ぐいっと引き寄せられて、今度はレオンの胸に卯瑠が収まる形になった。
ピッタリとくっつけられた肌の奥から聞こえる心音にドギマギしてしまう卯瑠の頭をレオンが撫でる。
「な、なに、レオ」
近い。いや、さっきまであんなことやこんなことをされていた癖に何を言うか。
先程までの情事から冷静になった今であるからこそ、殊更この状況に戸惑ってしまっている訳なのだが、卯瑠は思わずレオンのお腹に手を当てて押し返そうとした。
しかしレオンはそれを許さず、むしろもっと体を引き寄せたと思うと卯瑠の顎を手で掬い、目を合わせた。
絡んだ視線に卯瑠は狼狽えた。
「れ、お」
心臓が激しく動く。
この音が伝わっていたらどうしようと、さらに戸惑っていると、レオンの形の良い唇が微かに動いた。
「ウル」
「な、何…」
「ウル、お前は俺のものだ」
「は…?」
俺のもの、とは…
「使用人ですからそりゃあ…」
こういうことか。と返せばレオンが苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。
「違う!そうじゃない!そうじゃ、なくて…!」
「?そうじゃなくて、なに」
「だっ…だから、それは…」
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