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屋敷に拾われて数日後。
何度説明しても眉間に皺を寄せ、疑いの眼差しで見てきたレオンが急に
「お前の話を信じることにした。」
と言い出した。
突然の心変わりに思わず卯瑠は「なんで?!」
と驚いてしまったのだが、
レオン曰くこの数日の卯瑠の行動がこの国の人間ではない。ということを裏付けたと言う。
「私普通に過ごしてただけだよね…?」
「お前の普通はここの普通じゃない」
「ええ……」
(逆にここの普通って何よ…)
そう訝しげにレオンを見つめると、レオンが少し…いやかなり嫌そうな表情で口を開いた。
「この国は…女が強い」
「……うん?」
レオン曰く、この国は女性優位な風潮らしく、家主も女性だったりお店を管理するのも女性が主だという。
そういう形の国もあるのか、と納得したもののよくよく聞けばどうも、俗に言う肉食系女子が多いのだと言う。
「女に押し倒されることは多いし、薬を盛られて既成事実を作らされることもある」
「おっふ…」
想定の範疇を超える肉食っぷりに思わず頰が引き攣った。
いわゆる逆レイプ的なことが起こるのが日常というわけらしく、同姓とはいえ怖い。
「卯瑠もそうかと警戒していたが…変に威張らないし何も求めてこないし、夜這いもない」
「いや、それ普通だから」
「…だからお前はこの国の人間じゃないと思ったんだよ」
なるほど。納得したくない理由だけど納得だ。
レオンは終始苦虫を噛み潰したような表情でいた。
しかしそれもそうなのかも。とも思った。
兜を取ったレオンの顔を初めて見た時、息を呑んだのを覚えている。
兜によって押さえつけられた髪は赤く、顔立ちははっきりしていて鼻筋もすっと通っていた。
切れ目の瞳は髪と同じく赤い色を灯していた。
まさにイケメンという人種。
そんなレオンが世の女性に不人気なわけがない。
「…心中、お察し申し上げます」
「変な言葉だな」
「めちゃくちゃ労ってるから」
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