48人が本棚に入れています
本棚に追加
数刻後。
低い呻き声と共にレオンが目を覚ました。
「あ、起きた?」
「…?ウル……?ここは…」
「自分の部屋だよー。アルト様が運んでくれたの。覚えてない?」
あの後、小柄な卯瑠では運べないと判断したアルトがレオンを寝室まで運んでくれた。
グッタリしているレオンを見て、顔の強張りが消えない卯瑠に対してアルトの
『あー、男ならわかるよなぁ、このツラさ』という台詞に、女とバレていないことに安堵したと共に何とも言えない気持ちにはなったが。
それはさておき、とレオンの様子を伺う。
額にはじっとりと汗が滲んで息も荒い。
これはなかなか厄介そうだと思いつつ、準備しておいたタオルで汗を拭ってやる。
「アルト…。お前、大丈夫だったか…?」
「ん?男装のこと?もちろんよ、このツラさに同意を求められたくらい。」
「ふっ…」
「何笑ってんのよ…」
別に好きで男装してるわけではないんだからね、とレオンを睨みつけてやった。
わかってる。と口にするレオンの表情は笑ったままだ。
くそぅ、と思いながらもお世話はしておく。
「大丈夫…?それに効く薬とかないの?」
「ないな…。この国の令嬢方は…、独自の配合の薬を商人から買う…」
「えぇ…何その周到さ…」
怖ぁ…。と引いて見せるとレオンも「同感だ。」と頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!