27. エピローグ

2/2
前へ
/152ページ
次へ
「そうちゃんが君を置いてったら、それが 彼の出した答えで、櫂君が誘われるまま けんちゃんと深い関係になったら… それもまた、君の出した答えでしょ? その結果が必ずしも間違えになるなんて… なってみなきゃ分からないじゃない?」 「………」 「…まぁ結果として、収まるところに 収まったって事だよね。 思ってた通りになってホッとしたよ」 進さんがうすく笑って椅子の背もたれに 背中をあずけると、空気が少しゆるんだ気がした。 「うん…ありがとう…」 進さんの本心はどっちだろう…。 本当に良かったと思ってくれてるだろうか。 「俺も上手くいってるって、そうちゃんに 言っといて」 ケーキの残りを口に詰めこんで進さんが言った。 「……え、あの?職場の先輩? シングルファーザーの? ノーマルって言ってたよね?」 「うん、そう! やっと鍵もらうまでの関係になったんだ」 「スゴいね!」 「久々、頑張ったからな~ 恋ってパワー使うけど もらえるパワーの方がでかいよな…」 「………うん…そうだね」 進さんの表情で、現在の恋がうまくいっていると 納得できた。 俺や蒼佑への当て付けや意地ではない。 そう感じられる優しい顔。 「お互い頑張ろうね」 「うん、大事にしようね」 「何かあったらいつでも連絡して」 「…進さん、、頼りにしてる」 俺の言葉に進さんが少し照れたように笑った。 「… お兄ちゃんって呼んでもイイヨ…」 「フフ… お兄ちゃん」 「なんだい、兄弟」 「ぶっははは!!!」 二人でお腹を抱えて笑った。 俺は兄まで手に入れたらしい。 初めて会ったときには、憎しみしかなかった。 その相手とこんな風に笑いあうなんて…。 逆の立場だったら同じ事ができるだろうか…。 進さんは、きっともう別の次元で やっぱり蒼佑の事を好きなんだろう。 蒼佑の幸せを見守った結果が今なんだ。 もしかしたら、スゴく危険な相手になるかも しれない…でも 嫌いになれない。 「……じゃ、またね」 店の前で別れる事にした。 俺は蒼佑と待ち合わせしてた。 「……櫂君…言おうかどうしようか 迷ったんだけどね…」 「ん?」 「けんちゃんさ、ちょっと君に興味持ってたの このまま会うことがなければ何の問題も ないと思うけど…一応、気をつけて」 「蒼佑みたいな事言うね… 大丈夫だよ!たとえ会っても 揺らがない自信があるんだ!」 俺はストールを巻きながら笑った。 「……うん、、うん。そうだよね! がんばれ!」 「うん!忠告ありがとう!」 俺はこの時深く考える事はなかった。 どうせもう会うことはないだろうと思ってたから…。 でも意外と早く、俺とケンさんは 再会することになった。 蒼佑や進さんが心配していたように 俺たちはみごとに引っかき回されてしまう。 でも それはまた、別の話だ…。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

399人が本棚に入れています
本棚に追加