前日譚

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 「やっぱり千晶ここまで来てたんですね!それなら家まで来てくれればよかったのに、どうして...」  「さぁ、それは俺もわからないけど。でも結局今日学校で返してもらったんでしょ?それならいいじゃん」  「う...ん、まぁ...」  翌日、いつものように食事を終えた春臣と誠太は車の中で談笑をしていた。そして帰り際話題となったのは昨日の千晶についてだった。誠太が言うには昨日、千晶は同じ委員会の生徒たちとファミレスで過ごした帰り、誠太の家を通りがかるついでに返し忘れていたCDを渡そうとしていたらしかった。  しかし千晶は結局家を訪れることはなく、今日学校で渡してきたと言っていた。  「気にしてもしょうがないんじゃない?本人に聞けばはっきりすると思うけど、それができないならこれ以上無駄に頭を働かせるのはやめることだね」  「...そうですね。千晶のことだから何かあればはっきり言ってくれそうですし...春臣君の言う通り考えるのはやめます」  「そうそう、悩むくらいなら楽しいこと考えて過ごした方がいいよ。家にも到着、気を付けて帰って...って、誠太?」  いつものように家の前で車を止めるがなぜか誠太は俯き、そこから動こうとはしなかった。  「千晶は春臣君と一緒に帰りたかったんですかね...だから春臣君の姿を見つけて、本来の目的も忘れて春臣君の下に...」  「もう考えるのはやめたんじゃないの?」  「...ッ、でも、俺...」  「千晶、俺と誠太がキスしてたところ見てたんだって。だからいてもたってもいられなくて誠太が戻ったのを確認してから俺のところに来たんだよ」  「えっ...!?千晶見て...っ、でも、今日いつも通りで、」  「そりゃ言えるわけないんじゃない?親友のキス現場なんて。しかも相手は男で俺。まぁ、誠太は気にしなくていいと思うよ、あいつはさっき誠太も言ってたけど何か思うところがあればはっきり言うやつだから。それに誠太が気にしすぎてもう俺とキスしてくれなくなったら嫌だし」  ニコリとほほ笑めば一気に誠太は顔を真っ赤に染めた。そんな姿が可愛らしくてつい揶揄いたくもなってしまう。  「本当はキス以上のこともしたいんだけどね」  「...っ、」  耳元でそう囁けば誠太の方はびくりと小さく動いた。  「でもそれは誠太に嫌がられそうだからしないよ、安心して。それじゃあここでお別れ。また今度連絡するね」  そういいキスも何もしないままさよならを告げたのだが...  「...春臣君なら、嫌じゃ、ない」  「え...っ、」  「キスも...キス以上のことも、したい」  俯いたまま、誠太はその小さな体を叱咤し声を振り絞ってそう言った。  そして上気した頬をこちらに向け、上目遣いでこちらを見てきた。  それに対し、春臣はあの加虐心をおびた目で笑んだ。  「ここ、俺が使ってる仮眠室なんだ。仕事が忙しくて寝不足の時はいつもここで寝てる」  夜も遅く。2人がやってきたのは春臣の事務所の横にある一室だった。スケジュールが多忙ということもあり体調面を心配した社長が特別待遇で空き部屋だった一室を春臣専用の仮眠室として提供してくれたのだ。  「鍵持ってるのは俺と社長とマネージャーだけ。社長とマネージャーがここに来ることはないから...誰も入ってくる心配はないよ」  「...っ、はい」  「はははっ、緊張してる?リラックスしてよ...それとも、」  「うわっ...は、春臣君」  「緊張する暇もないくらい何も考えられなくした方がいい?」  トン、とベッドに座っていた誠太の肩を押し、上に跨って覆い被さると顔を近づけて唇を重ねた。初めは重ねるだけだったそれも次第に深いものとなり、2人の息遣いは荒くなる。  そして誠太がキスに夢中になっている隙に服を脱がしていった。自分よりも小さく華奢なその体は昨日見た千晶の体と似ていたが、昨日とは違い、春臣のそこは熱く昂っていた。  例えるならば大切に育てた存在を汚してしまう様な快感。自分は小児愛者などではない。ただの快楽主義者だ。  苛めて、快楽を与えたい。汚して汚して汚して、自分の欲望を早くぶつけてしまいたい。  春臣の欲求は強くなるばかりであった。  しかしゆっくりと焦らずに誠太のズボンと下着を脱がしていく。恐怖心は与えない。  与えるのは快楽のみだから。  「ここも、反応してるね」  誠太のそこは既に反応して、先走りを零れさせていた。小さく未熟なそこはぴくぴくと動き芯を持ち始める。  ―あぁ、早く壊してしまいたい。  その時、春臣の顔に浮かぶのは歪んだ笑みだけであった。
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