56人が本棚に入れています
本棚に追加
/437ページ
「クラハ村も例年より雨が少ないそうですが、ほかの領主からも同様の報告が上がっています。わたしはアピネ王国全体として少雨の異常気象に見舞われているのではないかと推測しています」
サティスの言葉に、「王都はどうですか?」とニールが反応した。
「それが、不思議なことに王都のみなのだ、天候不順の影響がないのは。徐々に降水量が減ってはきていたのだが、この冬に入ったところから特におかしくなっている」
サティスの言葉にニールはまさか、と思う。
「何か心当たりがあるのか?」
王に聞かれ、ニールは「あ、いえ。申し訳ありません」と答える。
「まだ、その他の領主から天候に関しての訴えはないので、雨不足ながらも問題はないようなのだが、これから作付けの季節に入るとき、雨が降らなければどの地も問題が出てくる。エーデンのような工業地でも同様だ。水不足は生活にも産業にも影響が出る」
王の言葉に「そうですね」と言う王子。
最初のコメントを投稿しよう!