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次の朝、早めに起きた僕は昨夜の愚行の後始末をした。 窓を開けて換気をし、シーツを丸めて洗濯機へ放り込んだ。そして僕はそのままバスルームへと向かった。 何度も極めた体は重くてだるい。けれど全てを吐き出したせいか、どこかスッキリしていた。 気分は最悪だけど・・・。 あの人の元から逃げて一番困ったことは体の疼きだった。 男だからそれなりに処理は必要だとは思うけど、そんなのとは比べ物にならない程の疼きが僕を襲った。 ほぼ二日と空けずあの人に抱かれた体は僕の意志とは関係なく欲情し、あの人を求めた。 最初の頃こそどうにか誤魔化してやり過ごそうとしたけれど、日を追う事に収まるどころかどんどん高まり、どうしようもなくなって自分で握ってみたりした。 けれど、今まで自慰などする間もなくあの人に抱かれて来たため、自分の手ではなかなか上手く吐き出すことができない。 なかなか達することが出来ず半ば泣きながらの自慰が辛くて、いっそ誰でもいいから抱いてもらおうとその手の店にも行ってみたけれど、欲の滲んだ手で触れられただけでおぞましい程の嫌悪が体に沸き起こり、とても抱いてもらうことなど出来なかった。 結局その場を逃げ出し、二度と行かないと誓った。 その後も頻繁に起こる欲情を上手く処理出来ず、またその事が彼がいない現実を突きつけ、僕の体は日に日に熱くなった。 気づかないうちに食欲は落ち、眠れない日々が続いた。 引っ越したにもかかわらず、部屋に一人でいるとあの人が来るのを待ってしまう。そして、来るわけが無いことを再確認すると体が熱くなって仕方がなかった。 そんなことも時間が経てば解決するだろう、と思って仕事に没頭したものの、一年経った今も何も変わらなかった。 沸き起こる欲情はディルドを購入することで、一応鎮めることができるようになったけど、結局、あの人を思い出しながらの自慰は却ってあの人を忘れることが出来ず、体の欲求は増すばかりだった。
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