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なるべく女性社員には残業がないように仕事を振り、その他の面倒なことは社長自ら動くことで、小さな子供がいても働ける環境を整えてきたらしいのだが、最近会社も軌道に乗って仕事が増え、真田一人じゃ回せなくなってきていたらしい。そこへ僕が現れた。 今まで一人で回してきたことを僕にも手伝って欲しい、と声をかけてくれたのが一年前だ。 「僕にもっと仕事振ってくれていいよ」 特に原さんには慣れるまで、もっと余裕を持ってやってもらいたい。 「今のままで十分やってもらってるよ」 「そう言うけど、真田・・・今日だってこんな時間までかかってるだろ?」 普通ならこのまま直帰の時間なのに戻ってきたのは、まだ会社での仕事があるからじゃないのか? 「お前だってまだ残ってるじゃないか」 「僕は原さんの仕事をしてるだけだよ」 自分の分はとうに終わってる。 「・・・昨日も?」 隣からじっと探るように見られる。 「昨日はしてないよ」 「確かに申告はなかったな。けど、昨日もオレ、一度戻ってきたんだよ」 その言葉に一瞬手が止まったが、何事も無かったようにまた続けた。 「昨日だけじゃない。・・・分かるよな?オレが言ってること」 この会社はタイムカードがない。その日の終わりに日報をつけるシステムだ。残業したらそこに書くようになっている。 僕は今まで、こうやって他の人の仕事を代わった時や、真田の帰社にかち合った時しか残業を申告していなかった。 「お前、ほぼ毎日会社に残ってるだろ。それだって、本当に原ちゃんの仕事か?」 さすが、腐っても社長か・・・。 原さんの仕事はもうだいぶ前に終わっていた。これは別に今日やらなくてもいい仕事だ。 「瀬名・・・お前いつも何時に帰ってるんだ?ちゃんとメシ食ってるのか?」 キーボードを叩いていた手首を掴まれる。
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