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その答えは今も分からない。
好きだったら、愛していたら、こんな扱いでも平気なのだろうか?
言葉も態度も・・・もちろん物も、何も与えられず自分本位に抱かれるだけの関係に耐えられるのだろうか?
その上彼は最大の仕打ちを僕にした。
・・・結婚したのだ。
僕との関係を続けながら、あの人は僕の知らない女性と結婚した。それなのに関係は終わらせなかった。
彼は変わらず僕のところに通い、僕を抱いた。
本当なら、僕は彼との関係を終わらせるべきだったんだ。
どんなに酷く扱われても、どんなに辛くても、彼が抱くのは僕だけだと思っていたから耐えられた。それ程彼は僕のところに頻繁に訪れてたから。だけど違った。僕のところに来る裏で、別の女性とも関係していたんだ。
その段階で別れるべきだった。
彼に女性ができた時、僕は確かに絶望した。辛くて、苦しくて・・・。なのに、気がつくと僕はまたあの人が来るのを待ち、来てくれたことに安堵と喜びを覚えた。
結婚したと聞かされてもそれは変わらなかった。
彼は結婚しても僕の所へ来てくれる。
その事実が僕を支え、生きてくことが出来た。
そんなのは間違っていると分かっていても。
元々歪んだ関係が彼の結婚によってさらに捻れ、爛れ、社会から反する存在になった。
早く別れなければ・・・。
その思いはずっと僕の中にあった。なのに、出来ない自分が嫌でたまらなかった。
都合のいいただの存在に過ぎないのに、僕は彼に何を期待しているのだろう?
どんなに待っても、どんなに抱かれても、決して僕のものにはならないのに。・・・もう人のものになってしまったのに・・・。
だけど、僕は彼から離れることが出来なかった。
彼を拒絶することは簡単だ。
別れを告げればいい。
それでダメなら鍵を変えてしまえばいいし、いっそ引っ越してしまえばいいのだ。
でも、僕にはそれをすることが出来なかった。僕の弱い心は彼を求め、離れることを良しとしなかった。
どんなに世間に顔向けできないことをしていても、僕の存在が誰かを傷つけていたとしても、僕はあの人から離れたくなかった。
こんな関係を続ける、あの人が悪い。
彼が囲う存在に気づかない、彼女が悪い。
僕は悪くない。
僕の方が先に彼と関係を持ったのだから・・・。
だから、僕は悪くない・・・。
僕は都合のいい理由をつけて、この爛れた関係を続けていた。
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