16人が本棚に入れています
本棚に追加
「奈美さん、心配しなくてもコンビニでちゃんとパンツとコンドームは買うから」
斗馬が明るく笑顔で言うと、爽やかな気遣いの言葉に聞こえるから不思議だ。
「バカ斗馬。キミには羞恥心というものがないのか?」
「ない」
「えっと、じゃあ、男女の駆け引きとかは?」
「いらないでしょ。僕と奈美さんは、いっぱい抱き合って、朝は一緒にパン屋に行って、美味しいコーヒーを入れて食べる。また抱き合ってから一緒に料理して、美味しい日本酒を飲む。はい決定。行くよ、コート着て」
あまりにストレートに言われるとむちゃくちゃな話とも思えず、むしろ中々良いプランだと思ってしまう。
斗馬は、子供っぽく振舞っているように見えて、いつの間にか会計を済ませていたり、コートをさっと着せてくれたり、階段を下りる際手を引いてくれたりと、紳士の振る舞いであった。
「そうとう場数踏んでるの?もしくは年上のいい女と付き合っていたとか?」
「奈美さん、それは偏見。僕、年の離れた妹がいるんだよ。それで面倒みるの好きなんだって。まあ、年相応の恋愛はしてきたけど」
そう言って斗馬は、奈美の手を握り直して顔の前に持ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!