口溶けの恋心

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すぐ横に小さな公園があるマンションは、築年数が経っていて、リフォームはされているが間取りは旧式。その分家賃が手ごろで、広めの作りであった。 斗馬は二階の2LDKに住んでいた。 「あー、寒い。酔いが冷めちゃったね」 斗馬は、お風呂とコーヒーメーカーのスイッチを入れた。 「これ飲んで、一緒にお風呂に入ろ」 笑顔で言う斗馬。奈美は、ハッとして思い直す。仲良くなったのは、たった何時間か前だ。 「ねえ、なんで私を誘おうと思ったの?新人研修会で嫌な先輩に見えたでしょ?」 「あの時から僕は奈美さん狙いでしたから」 ふふっと笑う斗馬。奈美は信じられないという顔をした。 「奈美さんは、何かに囚われてて不器用な感じと、仕事に一生懸命な感じが混ざり合ってて可愛かった。脆そうで強気なとこが僕のドンピシャだった」 ストレートな言葉に奈美は赤面していた。 「あ、お風呂沸いたよ。お酒飲んでるからすぐ上がろうね。あったまったらベッドでイチャイチャしようね。はい、水も飲んで」 奈美はすっかり斗馬のペースに嵌っている。でも、それが嫌ではない。
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