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そう言うと、クリスティーンは両手をすりあわせて宙を拝んでいる。どうやら、日本式の感謝の気持ちを体現しているようだ。そんなクリスティーンの話におユキちゃんは感動したようで、
「やっぱり、サクさんは素敵な方ですわ!」
そう言って両手を組んでいる。
おユキちゃんの口から出た『サクさん』なる人物が、どうやらこの店の店主のことのようだ。
そんな話をしていると、奥の部屋から一匹の三毛猫がやってきて、ぴょんと机の上に飛び乗った。
「あ、ミケ太! こんにちは!」
おユキちゃんの挨拶に『ミケ太』と呼ばれた三毛猫は、尻尾を振ることで答えた。その後顔を洗い始める。
「相変わらず、自由なヤツやなぁ、お前は」
ナカさんはそう言うと、ミケ太の肩へと手を伸ばす。ミケ太はその手を一瞬だけ見やるが、ナカさんに肩から背中にかけてを撫でなれながら顔を洗うことにしたようだ。
「かぁーっ! このミケ太のふてぶてしさ! 最高やなっ!」
興奮したナカさんはミケ太の背中を激しく撫で回す。ミケ太は乱れた自分の背中を見やると、今度はナカさんの手が届かない位置へと移動をし、背中の毛繕いを行っていく。
ナカさんは手の届かなくなったミケ太を眺めながら、
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