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より多くの子供達にプレゼントを届ける為に曾祖父ジョセフが設立したクローバーカンパニーにはコネであっさり入社。
表向きは総合商社としての顔を持ち、クリスマスシーズンが近付くと変貌する。
勿論、此処の社員がサンタだなんて子供達にはナイショだ。
入社して希望すれば直ぐにサンタの役を貰えると思っていたら、そこはコネが効かずに何とオーディションがあった。
ソリの操縦だって、トナカイとのコミュニケーション能力だって自信があった。
それなのに──
「イメージに合わないってどういう事だよ。ダンスだってクリスマスソングだって上手くやって見せた。オーディションに受かってる奴等は皆、若い。端からイメージに合ってないじゃないか」
「お父さんに聞いてみればいいじゃない」
「親父はとっくに引退してる。今は悠々自適の旅行三昧。サンタだった事すら忘れてるよ。聞くのも癪だし」
テーブルに置かれたコーヒーカップにミルクを滴し、乱暴にかき混ぜた。
「待って、マシュー。オーディションの内容詳しく教えて」
クインもクローバーカンパニーの社員だ。
普段は輸出管理部で働き、クリスマスの日にはソリ誘導オペレーターとしてサンタをサポートする。
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