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(窓から見える景色は水色の空と青色の海。
聞こえてくるのは静かな波の音と電車が通る音。
窓から入り込む匂いは海の潮の香りと……強烈な豚骨の匂い。
そう……ここは。
海近くにあるラーメン屋の二階にある2Kアパートの一室。
波の音は人がいなくなった夜中しか聞こえないし、電車が通るたびに家には小規模な地震が発生するのが現実です。)
さて! こんな妄想をしている彼女の名前は、佐糖結。
この物語の主人公である。
現実が受け入れられなくて、理想を越えて……妄想気味になるのが玉に瑕である。
(はぁ! さっきのように目を閉じ、妄想に浸ればここだってステキな場所になる……気がする……。)
結がそんなことを思っていると、電車は気を遣ってなのか小さなガタガタという振動をプレゼントしてくれる。
(……。よし! 気を取り直して!)
「しゅわしゅわのレモネードに、あまあまのクリームとメイプルシロップがのったパンケーキ。海と言えばやっぱこれでしょう」
結は目を閉じ、フォークとナイフを手に持ち、甘々のパンケーキが運ばれてくるのを待つ。
先ほどもいいましたが、結は妄想っ子である。
ここは日本のとある町。
朝からパンケーキが出るなんて、お洒落な家か色んな意味で余裕がある家だけだろう。
もう一つ忘れていました。
彼女は海が好きと言うより、ハワイに憧れを持つ女子高校生である。
なぜ、ハワイに憧れを持つかは後程。
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