お掃除をしていたら幸せになった、片付け下手なOLさんのおはなし(2)

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お掃除をしていたら幸せになった、片付け下手なOLさんのおはなし(2)

 佳苗さんは片付けます。慌ててはいけません。ひとつひとつ、着実にこなすことが肝心なのです。  まずはものが溢れていたダイニングテーブルです。出しっぱなしにしていた本や書類、積み重ねられた資料は、ファイルに分けて本棚の中にしまっていきます。あっという間にテーブルの上が広くなりました。 「電子ファイルも便利だけれど、チェックするときは印刷した方がやりやすいのよね」  次は、ソファの上に置きっぱなしになっている洗濯物です。ここ数日残業続きで、洗濯はしたものの、乾燥機から取り出した後はそのままになっていたのです。 「全自動って名乗るなら畳んで引き出しにしまうまでやってほしいわ」  タオルに靴下、カットソー。広げて畳んで引き出しにしまって。みるみるうちに洗濯物の山は消えてなくなりました。  さて、今度はお風呂場です。 「鍵探しにお風呂場とか関係ない気もするのよねえ」  佳苗さんはマスクにゴム手袋をつけて、お風呂場の壁に塩素系スプレーを吹き掛けていきます。黒くなってしまったタイルの目地も白く輝くことでしょう。普段は手が届かない天井も、脚立を使って磨きあげました。  濡れた手足を拭いて佳苗さんは、台所に戻ってきました。そのままストック棚をチェックします。ありがたいことに、賞味期限切れの食品はないようです。換気扇のシートや、油はねを防止するために壁に貼っていたフィルムを取り替え、水切りかごに漂白剤を入れて消毒しました。  気がつけばお昼ご飯の時間はとっくに過ぎています。 「何か食べるもの、あったかなあ」  佳苗さんは冷蔵庫の掃除を兼ねて、余り物チャーハンを食べることにしました。
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