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お掃除をしていたら幸せになった、片付け下手なOLさんのおはなし(4)
「お掃除妖精さん、めっちゃすごいっすね。一家に一台、お掃除妖精!」
「いや、探し物させられるより、自動で掃除してくれる家電の方がいいわ。まあいつもの我が家じゃ、お掃除ロボットが動くための通路が確保できないんだけれどね」
久しぶりに可視面積の上がった床を見て、佳苗さんはため息をつきました。
すると後輩くんは、目をキラキラさせながら、佳苗さんの手をとりました。
「じゃあ先輩、俺とかどうっすか? 家事全般は仕込まれてますんで、俺と結婚してくれたら、全部まとめて俺がやりますよ! もうお掃除妖精さんに、大事なものを隠されなくてもいいっすよ!」
「!」
真っ赤になった佳苗さんの後ろで、ちりんと何かが音をたてました。さんざん探していた鍵が、澄ました顔でテーブルの角に引っかかっています。
テーブルが揺れたせいでしょうか、佳苗さんの鍵についていた鈴のチャームが鳴ったのです。それはまるでお掃除妖精さんが、佳苗さんにおめでとうと言っているようでもありました。
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