きっかけ

1/4
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
日中戦争のきっかけが興味深い。 1937年(昭和12年)の出来事である。 日本は、1931年の満州事変以来、中国大陸への侵攻を始め、翌年には中国北部に「満州国」を建国。これは国際機関には認められなかったが事実上、日本の植民地である。 また、日本軍は、中国人民が起こした義和団事件の後処理と、駐在する日本居留民の保護を理由に中国各地に、自警団と称し、軍隊を置いて、各地で軍事演習を展開していた。まさに中国軍(中国国民革命軍)とは一触即発な雰囲気が広まっていた。     * 事件は起きた。 1937年7月7日、北京郊外の盧溝橋(ろこうきょう)という橋があった。かつては中世の頃、マルコポーロが渡ったとされ「マルコポーロ橋」とも言われている。 日本の支那(中国のこと)駐屯軍歩兵第一聯隊第二大隊第八中隊は、夕方の食事を終え、そのあと、夜間練習を行っていた。あくまでも敵兵攻撃に備え、兵士の配置、連絡、射撃の想定を行っていただけなので、兵士は重い鉄のヘルメットも装着しないでいたらしい。 その時だった。小隊長・清水節郎少尉は兵に指揮する中、西南の暗闇に銃声を聞いた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!