ツウィートしただけなのに

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それでも最初は躊躇っていたが、一緒に過ごしているうちに次第に慣れてきた。  “セナは相変わらず優しい! ネットでもリアルでも、性格は変わらないの!” 状況は常にツウィートしていた。 セナは写真には写りたくないようで、一緒に写真は撮ってくれない。 だが他のものを撮るのは許可してくれた。 そういうところで理解があるのは嬉しい。  食べ物や遊んだ場所を記念に撮り投稿していく。 “大丈夫そうだね” 冬真はツウィートをいくつも確認してくれたようで返事をくれた。 それはやはりかなりの安心に繋がる。 “はい! いつもありがとうございます!” いつも通りのメッセージの賑わいに心躍っていると、セナがゲームセンターを指差しながら言った。 「ねぇ由佳。 あのストラップ、取ってあげようか?」 店頭から既に放たれる賑わい。 指の先にあるUFOキャッチャーはツウィッターのマスコットである鳥の飾りが付いている。  由佳がそれを集めているということはなかったが、セナの気遣いは嬉しく今日の記念になるのなら断る理由もない。 「うん! あ、なら私がお金を出すよ!」 「いいって。 今日は全て奢らせてって言ったでしょ」 セナは両替機までいくと千円札を押し込んだ。 ―――事前にお金は全て割り勘で、っていう話だったんだけどなぁ・・・。 そういう打ち合わせだったが、セナが全て奢ってくれ常にエスコートをしてくれる感じだ。 だが想定していたのは同年代の女子ということだったため、今一緒にいる大人の男性とは事情が違う。  奢ってくれるというのを無理に断るのも空気が悪くなってしまうだろう。 ―――申し訳ない気持ちはあるけど、その分今日は楽しまなきゃ。 結局、千円では足りず、もう千円を両替しお揃いのストラップを揃えてくれた。 ―――セナ、いい人だな。 ―――いつもは話していて楽しい感じだったけど、今は安心感が凄い。 もう完全に慣れてしまっていた。 二人はゲームセンターを出る。 話も弾み楽しく歩いていたが、道のど真ん中をよろよろと歩いている大きな男性とすれ違う。 ―――うわぁ。 ―――邪魔なんだけど・・・。 ぶつからないように気を付けて通り過ぎようとしたところ、男がよろけて由佳とぶつかった。 「痛ッ」 「大丈夫?」 転んだ由佳にすぐさまセナは手を差し伸べてくれた。 男はぺこぺこと頭を下げている。 「あ、あの、すみません・・・」 ―――何なの・・・? 由佳は手を取りその場に立ち上がった。 男の近くには白い杖が落ちている。 由佳は苛立ちのあまりスマートフォンを取り出してツウィートした。 “一体何なの!? 細い道のど真ん中を身体の大きな男の人がふらふらと歩いていたの! ぶつからないように気を付けていたのに、相手から思い切りぶつかってきた! もう転んで痛いよ・・・。   白い杖を適当に探しているし、何? 酔っぱらい?” ツウィートをしている間セナは男に謝り杖を渡していた。 ―――わぁ、セナってば本当に優しい・・・。 見惚れているとセナが寄ってきた。 「由佳、大丈夫?」 「あ、うん」 「怪我はない?」 「多分・・・」 身体を確認しても怪我をしているところはない。 服は多少汚れてしまったが、目立つこともなさそうなため気にしないことにした。 「よかった。 じゃあ行こうか」 セナのエスコートにより歩くのを再開した。 しかし、この時由佳は先程のツウィートが原因で自身のツウィッターが荒れてしまうことに気付いていなかった。 歩いていると突然スマートフォンが鳴り響く。 ―――・・・律奈から? 母親に律奈と出かけると嘘をついたことから心臓が跳ねた。 もしかしたら何かしらの連絡がいったのかもしれない。 そうは思うが、あまりかかってくることのない電話を無視することもできなかった。 「誰から?」 「リア友から! 出てもいい?」 「もちろん」 セナから許可をもらうと、その場に立ち止まって電話に出た。 「もしもし?」 『もしもし由佳!? お願い助けて!』 電話越しに律奈の叫ぶような声が聞こえていた。
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