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食うか食われるか
玄関口の小窓に、まだ搬入していない段ボールの影が映っている。
まるで誰かに見張られているようで落ち着かないが、かまっている余裕はなかった。
ふたりしてベッドに寝そべると、瀬戸内は押し殺していた感情を爆発させるように、キスを繰り返してきた。
服を脱がそうにも唇を離してくれないので、湯川は青いパーカーの中に手を入れて、彼の敏感なところを、思い出すように辿っていった。
「んっ……」
弧を描くように胸を撫で、親指の腹で突起を擦ると、彼は唇を離して、体を反らした。
「ばんざい」
その流れで指示をして、パーカーを脱がせる。
首筋や腹筋、胸など、ほとんどの部分はもう知っているが、服を着ていない瀬戸内を見るのは初めてだ。
首筋から肩にかけて指でなぞり、その綺麗な骨格、ほどよくついた筋肉を確かめる。
そして今度は舌を、胸に這わせた。
「あぁっ」
後頭部の髪を掴むようにして、しがみついてくる。
彼から与えられる、頭皮の引き攣るような痛みにますます興奮し、湯川はより執拗に舌を転がした。
「あん、あっ……」
高い声で鳴きながら、下半身を押し付けてくる。
瀬戸内のそこは、触らなくても充分すぎるぐらいに反応していたが、それを揶揄えないほどに、湯川もまた昂っていた。
ボトムスのベルトに手をかけ、下着ごと下ろそうとすると、瀬戸内が遠慮がちに手首を掴んできた。
「湯川君も脱いで……。体、見たい」
言われて、湯川は自らもTシャツを脱いだ。
互いに裸になると、なんとなく気恥ずかしい。
今度は瀬戸内の指がこちらの喉仏、胸、臍などにゆっくりと触れてくる。
彼の愛撫は視線と同じく、湿気と熱を含んでいて、ねっとりとした粘みがあった。
「綺麗だね」
「え?」
予想外の褒め言葉に、しばし唖然とする。
「ずっと触りたかったところ、全部触っていい?」
こちらが返事をする前に、彼は耳たぶに齧り付いてきた。
耳たぶを吸われ、続いて舌が、耳の後ろや穴の中まで侵入してくる。
なぞられるたびに、鎖骨から肩にかけてが強張り、息が漏れないように歯を食いしばった。
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