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「湯川君、くすぐったい?」
「いや……。でも——」
「じゃあ気持ちいい……?」
二の腕の筋肉の盛り上がりに沿ってその唇が這い、腹筋を舌先で突かれた。
「……っ」
臍の中に舌をさし入れられ、思わず小さなうめき声が漏れてしまった。
瀬戸内は顔を上げて微かに笑い、それから湯川のテーパードパンツを下ろすと、最も熱い部分を口に含んできた。
息を吐いて受け入れるが、微かに震えてしまう。
快感のあまり無意識に腰を突き出してしまうと、瀬戸内の顔が歪んだ。
「ンッ」
苦しそうな表情に、不覚にも興奮してしまう。
漏れる息が、短く小刻みになっていった。
「瀬戸内さん、いきそ……」
絶頂が近くなり、湯川はうっとりと彼から与えられる愛撫に身を任せた。
霞かけた意識がふとクリアになったのは——意図していない部分にまで指が滑り込んできたからだった。
なんとも不穏な、未経験の感覚——見下ろして確かめると案の定、瀬戸内の指が尻のほうにのびていた。
「ちょっと……!」
慌てて引き剥がすと、瀬戸内は不思議そうに目を丸くした。
「なんで? 嫌だった?」
「いやいや、そっちは無理だから」
「大丈夫だよ。気持ちよくしてあげるから」
湯川は体を起こし、後退した。
つられて瀬戸内がにじり寄ってくる。
ついには壁際まで追い詰められ、湯川は両手を上げて降参をした。
「もしかして、ネコやったことないの?」
揶揄うように言われて、うっすらと腹が立った。
彼は当然のように——湯川にもその経験があると思っていたようだ。
世間一般では、同性同士の場合、役割を交代するのが普通なのだろうか。
大智と付き合っていた時ははっきりと役割分担がなされていたから、湯川はこれまで異性にしてきたような感覚で、彼ともセックスをしていた。
しかし————
「やば。燃えるね」
独り言のように呟かれて、湯川の背筋を冷たいものが伝った。
こちらが戸惑うたびに、瀬戸内の呼吸は荒く、小刻みになっていく。
「俺にも、湯川君のかわいいとこ見せて」
壁に押し付けられた時、湯川はいよいよ焦った。
「待て、待って! ほんと無理!」
「大丈夫。気持ちよくしてあげるから……」
ボトムスを引き剥がされた時、湯川は掌を突き出した。
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