食うか食われるか

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「あ……ぁ————」 吐息の合間から微かに漏れる小さな声だったが、それだけで彼が、染み出すほどの悦びに浸されていることだけはわかった。 繋がった部分が馴染むまで、湯川はしばらくそのまま動かずにいた。 前髪をかき上げて後ろに流してやると、息を細く吐きながら乞うような視線を向けてくる。 「あー……可愛い」 つい口から溢れてしまい、一間おいて羞恥が猛スピードで追いかけてきた。 今まであまり口にしてこなかった言葉が、自然と出たことに狼狽する。 「ゆかわく……」 彼の声を封じるように、キスをした。 舌を絡めながら、そのままゆっくりと動く。 彼の体温でじっくりと熱されて、冒されていく———— 「あ、あっ……」 気づけば瀬戸内を気遣う余裕もなく、夢中で腰を打ちつけていた。 また、それに応えるかのように、彼の爪が、背中に食い込んでくる。 「あー、あっ、いい……、そこっ」 「ここ?」 「だめ! 突かな、で————」 高い声に押されてあやうく達しそうになり、慌てて動きを止めた。 腰を掴んで、ゆっくりとかき回すようにしながら、悦ぶところを刺激する。 そのたびに瀬戸内は声だけでなく、本当に目尻から涙を流していた。 「も……お願い、前も触って……っ」 湯川はゆるく動きながら、手を伸ばした。 しかし、彼が求めた場所はあえて外し、ふたたび胸の突起を摘んだ。 瀬戸内が嫌々と、首を左右に振っている。 「ここ、好きでしょ」 突きながら指の腹で刺激をすると、その体が仰け反った。 「あー……っ、ンッ、あ!」 吸い寄せられるように近づき、舌を突き出すと、彼もまた同じように差し出してきた。
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