朝っぱらから

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「ンッ……」 互いに服を身につけていない。 一度、キスを受け入れてしまうと、肌が触れ合うそばから、身体中のあちこちに火が灯るようだった。 首筋や鎖骨にキスを落とすと——昨日、自分がつけた名残が、まだ微かにあった。 「あ……っ」 布団に手を入れて瀬戸内の下半身をまさぐると、案の定、反応していた。 「はぁ、やっ……」 先走りで滑る。 体液の混ざった摩擦音と彼の息遣いを聞いていたらもう我慢ができなくなって、湯川は布団を剥いだ。 彼の肩を掴むと、状況を察したらしくうつ伏せになった。 「腰あげて」 ベッド下に落ちたままだったローションのボトルを拾って、手に取る。 瀬戸内は4本足の動物みたいに体をくねらせて、湯川を待っていた。 「瀬戸内さんの体も綺麗ですよ」 明るい部屋で見ても彼の肌はきめ細かく、体毛が薄かった。 「もう明るいから、あまり見ないで……」 シーツに顔をつけて恥じらう姿を見ていたら、湯川のなかに燻る、ごくわずかな加虐心が疼いた。 「あぁ……っ!」 彼の体内はまだ柔らかく、丁寧に解さなくてもよさそうだった。 前も刺激してやりながら、指の本数を増やし、弧を描くように広げていく。 「やだ、そこばっか見ないで……」 瀬戸内はこちらを振り返りながら、泣きそうな顔で懇願した。 明るい部屋で、腰を突き出しているのが恥ずかしいらしい。 「ん、あっ! ああ……っ」 湯川もあまり余裕はなかった。 指を引き抜くと、彼の腰を掴んで引き寄せた。 「ごめん、もう……」 彼もまた、腰を突き出して受け入れる体勢になる。 湯川は荒々しく、欲情を彼のなかに沈めていった。 「あぁー……っ」 シーツを掴みながら、こちらの起こす振動に耐えている。 肩甲骨や背中についたなめらかな筋肉がかすかに動くたび、やはり綺麗だと思った。 「あん、あっ、そこっ……」 白いうなじを親指の腹で撫でてやりながら、湯川は体を屈めた。 どうやら、彼を前にすると持久力が低下してしまうらしい。 動きを鈍くして抵抗をはかってみるものの、瀬戸内の高い声に煽られて、意味をなさなかった。 「あっ、あっ、あぁ」 瀬戸内は、小刻みに叫びながら、シーツに額を押し付けている。 「ごめん、あんまもたなそー……」 耳打ちしてから、そのまま瀬戸内の背中にぴったりと体をつけて、腰を揺すった。 彼の下半身にも手を絡めて刺激をすると、高い声はたちまち泣き声に変わってしまう。 「だめ……いく、ゆかわく……っ、あ——」 小刻みに揺らしながら扱くと、彼は叫びながら達した。 湯川も間もなくして、それに続く。 体を繋げたまま、うなじから背中にかけて唇を落とした。
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